(新司法試験総括続き)

2chに晒された! やる気アップ! ということでまたしても放置してた刑事系の答案構成も書いちゃう。それにしてもさすがに忘れてきてますよ。

  • 刑法

[甲の罪責]まず詐欺未遂と恐喝既遂。まず20万円は債務履行しただけなので損害といえるか問題。しかし恐喝は個別財産に対する罪なので損害にあたる。次に権利行使なので正当行為で許されるか問題。「家族がどうなってもイイノカナー」は手段がぜんぜん相当じゃないので許されない。詐欺についてはギモウがあったのは債権額についてのみであり、詐欺行為と交付との因果関係はなく未遂にとどまる。罪数的にはこのふたつはビミョウだけど「金を払わせる」という1個の行為なので観念的競合。次に100万円につき2度目の恐喝。あんまり脅してないけど前の脅しが効いてるのを利用してるので軽い脅しでも恐喝行為にあたり成立。ちなみにヤミ金うんぬんで被害拡大は損害と関係ない。さらに横領。まず金銭は所有と占有が一致するので問題。しかし使途を定めて渡されたお金は他人の所有のままとすべし。次に脅し取ったお金である点が問題(?)。しかし脅し取られたとはいえAから甲への委託信任関係は保護に値することに変わりはない。よって横領成立。最初の詐欺恐喝セットと2度目の恐喝と最後の横領は併合罪
[乙の罪責]まず甲で検討した詐欺未遂と恐喝既遂について共同正犯。さらに2度目の恐喝についても罪責を負うか。共犯関係からの離脱が成立するか問題。相互利用補充関係がなくなれば離脱認めるべきなので、まず離脱意思の表明と共犯者の承諾が必要。さらに首謀者や実行に着手している場合など影響が残る場合は、積極的に止める行為まで必要。くっついてる判例も同じようなこと言ってる。そこで本件についてみるに、最初の共謀が2回目の恐喝にまで及んでいるので、事案は判例とちょっと違うけど積極的に止める行為は必要(ただしちょっと弱めでもいいかも)。最初に止めた段階では甲に未練ありそうでまだ離脱NG。けどさらに「貴様がヘタうったら俺が迷惑するんじゃボケェ」とまで言っており、不良仲間の先輩という乙の立場を考えるとこれはかなり強力な止める行為にあたる。よって離脱認められ、乙は2度目の恐喝の罪責を負わない。
最終日にしてついに論文試験のコツをつかんだ! 答案構成をせずに問題文の横に論点指摘するだけにしたら超書きやすかった。公法系とかと違って資料1個で時系列もきれいだからできることかもしれないけど。横領のところは不法原因給付の話かと思ったけどなんか違うっぽくて混乱した。Aが被害者の横領にしたけどちょっとおかしいぞ。他はおkでしょう。

  • 刑訴法

[設問1]まず任意捜査の原則。ビデオ撮影・録画は強制処分に当たらないか問題。強制処分とは個人の意思を制圧し重大な法益を侵害するもの。本件ではプライバシーを多少侵害するが、駐車場は公共スペースだし甲方玄関前もちょっとビミョウだが家の中じゃないのでまあよし。よって強制処分ではない。では任意処分として適法か。必要性・緊急性・相当性で判断。
まず駐車場カメラの必要性は同じ条件の駐車場で放火おきまくりなのでおk。緊急性は放火ちょう危ないし車いっぱいあるし木造住宅密集してるので急いで検挙しないと町は火の海でおk。相当性は警察張り込みは無理ぽい場所で監視するにはカメラしかないし、撮影範囲も狭いし公共スペースに停めてる車撮られてもそんなにプライバシー侵害ないし、時間も放火されそうな深夜だけだし、事後も不要な映像をどんどん消去しちゃうのでデータ蓄積によるプライバシー侵害が拡大しないように配慮しておりおk。次に甲方カメラの必要性は、甲っぽい人が見られてたりクリーニング屋からベンジン消えてたりあやしい発言してたりで甲が犯人である可能性はかなり高く、しかも駐車場カメラだけでは顔を隠してたりして甲をタイーホできない可能性があるのでこっちも監視したほうがよいのでおk。緊急性は駐車場カメラと同様。相当性はちょっとビミョウだけど撮ってるのは家じゃなくて家の前の公道だし他の人通ってもやっぱ公道だし、範囲時間も限られてるし、消去もするしでおk。以上より本件ビデオは適法。
[設問2]8記載の事実は甲の前科。これを本件で甲が犯人であることの認定に使えるか。前科は必要以上に有罪の心象を与えちゃうので原則として使うべきでない。しかしそのような弊害がなければ使ってもよい。具体的には、(百選に書いてあったのをてきとうにコピペしたけどめんどうなので略)1略2略3略4特殊な手口による犯行の場合には例外として許される。本件は123には当たらないが4に当たりそうなので、具体的に検討する。まず屋根のない駐車場での放火、これは超フツーのこと。次にC社の高級車への放火、そんなに特殊とまでは言わないけど前科と一致するし、動機もピッタリ。次に折りたたみナイフでひっかき傷、これは超特殊。なぜなら普通放火するのにわざわざそんなことしないので。これ一致するのはかなーりアヤシイ。そして放火の方法が前部バンパーにベンジン使用、これもやや特殊かも。これらを総合すると、「C社の高級車にナイフでガリガリして前部バンパーにベンジンで放火」という特殊な手口について本件前科と一致するので例外として証拠にしておk。
刑訴は事実拾い勝負だねー。家の前撮影した判例の規範はよく憶えてないけど別に使わなくても捜査の適法性は全部このパターンでできちゃうし。設問2は条文が見つからなくてあせった。条文ないのかよ! 法律的関連性とかは一言も書いてないけどI先生もそんなのはくだらねえって言ってた気もしないでもないので趣旨さえ書いてればおkでしょう。結局ひたすら手口の特殊性を書いただけで終わったという変な問題。

(全体の感想とかも書きたいのでもう1回だけ続きます)